深い飴色の釉薬と繊細なタッチで描かれる「イッチン技法」による
近藤文さんの作品。絵柄の部分はふっくらと浮き上がっています。以前からMIGO LABOでもお取り扱いさせていただいており、温かみがありノスタルジックなムードの作品はとても人気があります。
茨城県笠間は陶芸家の工房が数多くあり、春と秋に大規模な陶器市が開催されるなど、関東地方では益子と並ぶ大きな窯業産地として知られています。近藤さんは1995年から益子で修行を始め、製陶所勤務を経て陶芸家・栗原節夫氏の元で修行を重ね2001年に笠間で独立、工房を構えました。
近藤さんの工房は、なだらかな丘の上の空気の澄んだ気持ちの良い場所にあります。周囲は自然に囲まれ、野生動物が木の実などを食べにやってくる事もあるとか。のどかな風景に心が安らぎます。
「イッチン技法」とは 成形した器にスポイトを使って泥状の粘土で模様を描く技法で筒描きとも呼ばれています。まずは模様を描くための目印を墨でつけていきます。ちなみにこの墨は焼成の工程で消えるとのこと。
普段は穏やかなムードの近藤さんですが、絵付の時の真摯な眼差しはアーティストであり職人魂を感じます。太くしたり、細く長くしたりと力加減で自由自在にスポイトを操っていく作業のスピードは想像以上でした。
絵付が終わり乾燥中の器たち。その気持ち良さそうな姿を見ると、笠間の丘に降り注ぐ日の光の温かさも作品の仕上がりに影響しているのかもしれないと思いました。
このあと、素焼き、釉薬がけ、本焼きなどの工程を経て美しい作品が出来上がります。
2月15日からMIGO LABOで開催されるイベントは、世界中からコーヒー豆を運び役目を終えた麻袋を再生して作られるバッグのブランド:KISSACOと近藤文さんの作品の合同展示会ということで、近藤さんが以前から取り組んでいた「再生土」を使用した作品も出品していただく予定です。
近藤さんは陶芸作品を制作する仕事の過程で生じる「焼き損じたち」を不燃ゴミにするのではなく「もう一度再生できたら」という思いがあり、岐阜では廃棄される陶磁器をもう一度粘土にしているという話を聞き、不要になった陶器を粉砕して作られる再生土を使った作品作りを笠間・益子を中心に活動する個人陶芸作家たちと実験されていました。
以前に作った再生土を使った作品を拝見しましたが、通常の近藤さんの作品とは一味違ったニュアンスの仕上がりでとても魅力的でした。展示会に作品が並ぶのがとても楽しみです。
KISSACO + AYA KONDO作品展 -
期間:2018年2月15日(木) - 2月28日(水)(会期中無休)
時間:13:00 - 19:00
会場:MIGO LABO
住所:東京都目黒区五本木2-42-1
TEL:03-6303-3281
※このブログに掲載されている作品は展示会に出品されないものも含まれております。あらかじめご了承ください。