木工作家・前田洋さんの作品は木の持つ個性を生かしながら一つ一つ作られます。
この日はウッドターニングの技法で柿の原木(生木)から直径約30cmの大きなボウルを製作する様子を見学させていただきました。
まず、チェーンソーを使って丸太を切り出すところから作業スタート。
大きな音が鳴り響き、工房の床はみるみるうちに木屑で埋め尽くされていきます。
器のデザインは木目の表情によって決まるので、この工程は重要なポイントになります。
木の切り口からはネットリとした樹液が浮かび上がってきます。樹液の小さな粒は木に命が宿っている証のようです。
作る器のサイズの円盤を当て、角を落としてボウルのアウトラインを作っていきます。
そして木工旋盤の機械にセット。
外側をノミで削り出し少しづつ丸いボウルの形にしてゆきます。
作業は大小様々なノミを使い分けて行われます。刃は頻繁に研磨し常に良く削れるようにキープされています。
内側を繰り抜くように削り、外側も形を整えていきます。
木の器は厚いと野暮ったくなってしまいますが、薄すぎると割れたりヒビが入ってしまうことも。
そんな木の繊細な特性を見極めながら製作は進められます。
形が整ったら研磨作業に入ります。使うのはアングルドリルという工具。
先端に取り付けるペーパーの目を徐々に細かくしていきながら全体を研磨してゆきます。
木の水分をよく乾燥させて、最後に蜜蝋オイルを塗って仕上げます。
前田さんのオススメの蜜蝋オイルは『HOWARD Butcher Block Conditioner』というアメリカ製のもの。肉屋さんのまな板のケアなどにも使われているそうです。
こうして数々の工程を経て作られる木工作品は自然の恵みと前田さんの愛情が詰まっています。木目の表情も様々で使うほどに味わいが増し、自分だけのものに育っていきます。皆さんも是非お気に入りの作品を見つけてくださいね。
「前田洋工作室 展示会2017 WWW -World of Wood Work-」
11月17日(金)-11月27日(月) 会期中無休
営業時間:13:00-19:00
作家在廊予定日:11月18日(土)19日(日)※詳細は公式サイト、SNS等でお知らせします。
会場:MIGO LABO
住所:東京都目黒区五本木2-42-1
TEL:03-6303-3281